おひとり様

1|「もしも」のときも、ずっと安心でいられるように

 「自分にもしものことがあったとき、いったい誰が助けてくれるのだろう」――おひとりで暮らしていると、ふとした瞬間にそんな不安がよぎることはありませんか。入院や施設入所のときに求められる身元保証人、判断能力が低下したときの財産管理、そして亡くなった後の手続きや遺品整理。頼れる家族が近くにいないと、これらすべてが大きな心配ごとになります。


 近年は孤独死という言葉も身近になり、「誰にも気づかれなかったら」という思いを抱える方も少なくありません。けれども、その不安は決してあなただけのものではなく、また、放っておくしかないものでもありません。


 大切なのは、元気な今のうちに、信頼できる備えを順番に整えておくことです。そうすれば、おひとりでも「見守られ、支えられ、きちんと見送られる」安心を手にできます。このページでは、人生のすべての場面を切れ目なく支える4つの備え――「見守り契約」「任意後見契約」「死後事務委任契約」「遺言書作成」を、やさしくご紹介します。

2|見守り契約で「日々の安心」を確かにする

もし準備しなかった場合に起こること

 おひとり暮らしでいちばん怖いのは、体調の異変や判断能力の低下に誰も気づいてくれないことです。元気なうちは問題なくても、ある日突然倒れてしまったら――そんなとき、定期的に連絡を取り合う相手がいなければ、発見が大きく遅れてしまいます。

  • 体調を崩しても誰にも気づかれず、発見が遅れる
  • 認知症などの初期サインを見逃し、対応が後手に回る
  • 任意後見をいつ始めるべきか、判断してくれる人がいない
  • 日常の小さな困りごとを相談できる相手がいない

見守り契約でできること(概要)

 見守り契約は、専門家が定期的に電話や面談で連絡を取り、あなたの健康状態や生活の変化を見守る契約です。判断能力の低下にいち早く気づき、必要なときに次の備え(任意後見など)へスムーズにつなげる、安心の入り口となります。(詳しくはこちら


見守り契約が効果を発揮する具体的な場面

  1. 近くに頼れる家族や親族がいないとき
  2. 体調や物忘れの変化に、誰かに気づいてほしいとき
  3. 任意後見を始めるタイミングを見極めてほしいとき
  4. 日常の困りごとを気軽に相談したいとき
  5. 孤独死への不安をやわらげたいとき

よくある質問

どのくらいの頻度で見守ってもらえますか?

契約により異なりますが、月1〜2回の電話や定期面談が一般的です。ご希望に合わせて頻度を調整できます。

任意後見とどう違うのですか?

見守り契約は判断能力があるうちの安否確認が中心。判断能力が低下した後を支える任意後見セットで結ぶことで切れ目がなくなります。

緊急時にも対応してもらえますか?

異変に気づいた際、関係機関への連絡や次の手続きへの橋渡しを行います。具体的な対応範囲は契約で定めます。

費用はどのくらい?

月額数千円程度が目安です。連絡頻度やサポート内容によって変わります。

いつでも始められますか?

はい。元気な今のうちに始めることで、その後の備えへ自然につなげられます。

 見守り契約は、「ひとりだけど、ひとりじゃない」を日々のかたちにする安心の土台です。

3|任意後見契約で「判断能力が低下したとき」に備える

もし準備しなかった場合に起こること

 認知症などで判断能力が低下すると、自分で財産管理や契約ができなくなります。頼れる家族がいないおひとり様の場合、何も準備がないと、家庭裁判所が選ぶ法定後見人にすべてが委ねられます。

  • 預貯金が凍結され、生活費の引き出しもできなくなる
  • 自宅の管理・売却や、施設入所の契約ができない
  • 誰が後見人になるか自分で選べず、見ず知らずの人が選任される
  • いったん始まると、回復しない限り原則やめられない

任意後見契約でできること(概要)

 任意後見契約は、「将来、判断能力が低下したら、信頼する人に財産管理や生活のサポートを任せる」と元気なうちに約束しておく契約です。専門家など信頼できる相手をあらかじめ自分で選べるので、おひとりでも安心して老後を迎えられます。(詳しくはこちら


任意後見契約が効果を発揮する具体的な場面

  1. 認知症などになっても、信頼する人に財産を任せたいとき
  2. 知らない第三者に後見人を任されたくないとき
  3. 頼れる家族や親族が身近にいないとき
  4. 施設入所や入院に備えておきたいとき
  5. 銀行や役所の手続きが負担に感じてきたとき

よくある質問

家族がいなくても契約できますか?

はい。専門家(行政書士など)を任意後見人に指定できますので、頼れる家族がいなくても安心です。

いつから効力が始まりますか?

判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点からです。それまでは効力は生じません。

契約に決まった形式は?

必ず公正証書で作成する必要があります。これは法律上の要件です。

ちゃんと管理されるか不安です。

任意後見監督人後見人の仕事をチェックするため、財産が適切に守られるしくみになっています。

費用はどのくらい?

公正証書作成費用に専門家報酬、開始後は監督人への報酬(月額数千円〜)がかかります。

 任意後見は、「弱ったときに、信頼できる人を自分で選んでおく」という、未来の自分への思いやりです。

4|死後事務委任契約で「最後の手続きと見送り」を託す

もし準備しなかった場合に起こること

 おひとり様にとって、亡くなった後の手続きを誰が担うのかは、最も切実な問題です。葬儀や納骨、行政手続き、遺品整理――これらを行う家族がいない場合、何も準備がないと、希望が叶わないばかりか手続き自体が宙に浮いてしまいます。

デメリット 内容
葬儀や納骨の希望が叶わない  望む葬儀の形式や納骨先が誰にも伝わらず、意向と異なる扱いになる。
遺品整理や住居の解約が進まない  賃貸住宅の解約や家財の片付けを行う人がおらず、放置されてしまう。
行政手続きが滞る  死亡届や年金・保険の手続きを担う人がいない。
デジタル遺品が残る  SNSやサブスクの解約がされず、いつまでも放置される。


死後事務委任契約でできること(概要)

 死後事務委任契約は、葬儀・納骨・行政手続き・医療費精算・遺品整理などを、信頼する人(専門家など)に正式に任せておく契約です。家族がいなくても、あなたの希望どおりに、きちんと最後の手続きと見送りが行われます。(詳しくはこちら


死後事務委任契約が効果を発揮する具体的な場面

  1. 死後の手続きを頼める家族や親族がいないとき
  2. 自分の葬儀や納骨の希望を確実に叶えたいとき
  3. 賃貸住宅の解約や遺品整理を任せたいとき
  4. 疎遠な親族に連絡や負担をかけたくないとき
  5. SNSなどデジタル遺品の整理も頼んでおきたいとき

よくある質問

家族がいなくても頼めますか?

はい。専門家を受任者に指定できるので、おひとり様でも死後の手続きを確実に任せられます。

遺言書とは何が違う?

遺言は「財産の行き先」、死後事務委任は「葬儀や手続きなどの実務」を定めるもの。両方そろえることで安心が完成します。

費用の支払いはどうする?

あらかじめ預託金を預けたり、遺言で費用相当額を遺贈したりして手当てしておくのが一般的です。

どこまで頼めますか?

葬儀・納骨・医療費精算・役所手続き・解約・遺品整理など、幅広く委任できます。

契約の形式は?

公正証書での作成が一般的で、第三者にも効力を示しやすく安心です。

 死後事務委任は、「最後まで、自分らしく見送られたい」という願いを確かなかたちにする備えです。

5|遺言書作成で「遺された財産の行き先」を決めておく

もし準備しなかった場合に起こること

 おひとり様が遺言を残さずに亡くなると、財産は法律のルールに従って処理されます。相続人がいない場合、最終的に財産は国のもの(国庫)になってしまうことをご存じでしょうか。

  • 疎遠な兄弟姉妹や甥・姪が相続人となり、思わぬ人に財産が渡る
  • 相続人が一人もいなければ、財産が国庫に帰属してしまう
  • お世話になった人や、応援したい団体に何も遺せない
  • 相続人を探す手続き(相続財産清算人の選任)に時間と費用がかか

遺言書でできること(概要)

 遺言書は、自分の財産を「誰に・何のために遺すか」を自由に決められる方法です。お世話になった方への遺贈や、関心のある団体への寄付なども指定でき、大切な財産を望むかたちで活かせます。公正証書遺言にしておけば確実です。(詳しくはこちら


遺言書が効果を発揮する具体的な場面

  1. お世話になった人に財産を遺したいとき
  2. 関心のある団体に寄付(遺贈)をしたいとき
  3. 財産が国庫に入るのを避けたいとき
  4. 疎遠な親族に財産を渡したくないとき
  5. 遺言執行者を決めて、手続きを確実に進めたいとき

よくある質問

相続人がいないとどうなりますか?

特別な手続きを経て、最終的に財産は国庫(国)に帰属します。遺言があれば、望む相手や団体に遺せます。

他人や団体にも遺せますか?

はい。遺贈という形で、お世話になった方や団体に遺せます。法定相続人以外への遺贈は相続税が2割加算される点に注意です。

自筆の遺言でも大丈夫?

有効ですが形式不備のリスクがあります。確実性を重視するなら公正証書遺言がおすすめです。

遺言の実行は誰がする?

遺言執行者を指定しておけば、その人が責任をもって手続きを進めます。専門家を指定するのが安心です。

費用はどのくらい?

公正証書遺言は財産額に応じた公証人手数料(数万円〜)に、専門家のサポート費用が加わります。

 遺言書は、「自分の財産を、自分の意思で活かす」という、人生の締めくくりの選択です。

6|どれが自分に必要か、迷ったときは

 ここまでご紹介した4つの備えは、人生のすべての場面を切れ目なくつなぎ、組み合わさることで真価を発揮します。 「見守り契約」で元気な今を見守り、「任意後見」で判断能力が低下したときの暮らしを守り、「死後事務委任」で最後の手続きと見送りを託し、「遺言書」で遺された財産を望むかたちで活かす――この流れがそろって初めて、おひとり様の人生が、はじめから終わりまで安心で包まれます。


 とはいえ、「自分には何から始めればいいのだろう」と迷われるのは当然のことです。お住まいの状況や財産、ご親族との関係によって、最適な組み合わせは一人ひとり異なります。


 どうか不安を、おひとりで抱え込まないでください。私たちは、あなたの想いとこれからの暮らしを丁寧にうかがい、最も安心できるかたちをご一緒に考えます。 まずはお気軽にご相談ください。あなたの人生の「これから」を、最後まで責任をもって支えるお手伝いをいたします。